「放課後ティータイムII」を聴いた。その1

過剰な思い入れによる妄想であることを最初にことわっておく。ちゃんとしたレビューが読みたい人は、こちらの素晴らしい記事がおすすめ。

では、曲ごとに感想。StudioMixの曲順で、CassetteMixの話も混ぜつつ。

「いちごパフェが止まらない」

  • 劇中では3年新歓ライブで披露されたはずの曲なので、「II」では最も早い時期にできた曲のはず。
  • この曲で重要なのは、澪の詞が唯を想定して書かれたものであること。そうでなければ「カロリーなんて気にしない」*1と書くはずがない。これまで自分の身の回りから発想を広げて作詞をしてきた澪が、他のメンバーを主人公にして書いた最初の曲で、これが「Honey sweet tea time」につながる。
  • 前作では、唯と梓が全く別のフレーズを弾くことが多かったけれど、今回は「二人合わせて一つのフレーズ」的なプレイが多い。例えばBメロ、小節頭で梓がガーンとコードを伸ばして、それを受けるように唯が裏のアップストロークのカッティング。一人でも弾けるフレーズをあえて分けてる。音の個性は全く異なるので、聴いててとてもスリリング。
  • 唯と梓のプレイスタイルの違いがピンと来ない、という人のためにいい例えを思いついた。唯と梓のギターは唯と澪のボーカルの違いと同じくらい違う。リズム感が抜群で印象的な高音と多彩な表情(音色)、速くて難しいフレーズも流れるようにこなす=唯のボーカルと梓のギター。大きくリズムに乗って、つやのある声(音)に豊かに感情を乗せる=澪のボーカルと唯のギター。無理やりっぽいがそんなに外れてないと思う。
  • リードボーカル3人(唯・澪・ムギ)は強烈に歌が巧いので、コーラスで完全に混じってしまう(ように歌っている)。そこでアクセントになるのが律と梓の舌っ足らず系の声で、彼女たちが入るとガールズバンドらしく賑やかになる。1期OPから思ってたけど、コーラスでの声のバランスがほんとに絶妙。
  • 律がキース・ムーン大好きってのは聴いてもピンと来ないけど、澪がジョン・エントウィッスルの影響を受けたって言ったらわりと納得する(どちらもThe Who)。おとなしそうに見えて爆音ベース。

ぴゅあぴゅあはーと

  • 詞としては「ふわふわ時間」の直接の続編になる。その間の「カレー」(食卓で完結)「ホッチキス」(勉強机で完結)「ふでペン」(やっぱり勉強机で完結)が完璧にインドアの歌だったので、曲調とも相まって開放感がすごい。2期になって澪の存在感が薄くなったといわれてたけど、詞で見ていくとそんなことはない。
  • 「花火」って、やっぱり合宿をいちばん楽しんでたのは澪じゃないか。
  • ベース弾きながら歌ってきたせいか、1期よりも歌のリズムがすごいよくなってる(これは中の人の成長だな)。
  • CassetteMixだとAメロはじめは梓のギター休み。こういう余白を生かしたアレンジができるようになったのが前作からの進歩。
  • シングルで聴いた時にあれっ?と思ってて、CassetteMixではっきりした。エンディングのギターソロは梓。ソロの入りのオクターブ奏法、前作のふわふわ時間(StudioMix)のギターソロで唯もオクターブ奏法を使っている。*2つまり梓が唯のプレイから影響を受けているということ。これは泣ける。そして、けいおん!の音楽制作チームの作品解釈レベルとんでもないです。

まだまだ曲はいっぱいあるけど、続きはまた今度。

*1:放課後ティータイム・作詞:稲葉エミ『いちごパフェが止まらない』ポニーキャニオン 2010年 より引用

*2:オクターブ奏法といえば、ジャズギタリストのウェス・モンゴメリーが有名だが、ここではロック系のプレイとして。