「ラ♪ラ♪ラ♪スイートプリキュア♪」を聴いた。

スイートプリキュア♪OP「ラ♪ラ♪ラ♪スイートプリキュア♪」の素晴らしさがあまり話題になっていない気がするので感想などをつらつらと(発売日の3月9日に買って、地震後かきそびれて今にいたる)。

今の本編は、音吉さんの謎、セイレーンの揺れ、キュアミューズの登場と物語にエンジンがかかってきた感があるけれど、当初はずいぶんのんびりした作りだなあと思っていた。特に前作のハートキャッチプリキュア!がハイテンションで駆け抜けたせいもある。OPも「Allright!ハートキャッチプリキュア!」に比べてゆったりして感じられた。テンポが遅いのかな?と思っていたらすでに調べている人がいた。さすがの古代祐三さん。

BPMが15違えばかなりスローに感じられるはずだ。四分音符中心でシンコペーションの殆どないメロディーラインもゆったり(ハートキャッチの縦ノリは強烈だった)。ここまで明確に曲を変えてきたということは、本編の気分がOPにも反映されているのかな、と思う。というわけで、本編もリラックスして楽しんでいるところ。

シリーズ過去作OP曲から明確に変えてきたことがもう一つ。今回、OP曲としては初の完全なバンドサウンドだ。前作までのOP曲は、70年代あたりのアイドル歌謡やアニソンの流れを引き継いだもので、ホーンやストリングスがアレンジ上の重要な位置を占めてきた*1。スイートOPはキーボードさえ装飾的に一部使われているだけ。「ギターロック」と言っていい。

「ラ♪ラ♪ラ♪スイートプリキュア♪」のチームは作詞:六ツ見純代、作曲:marhy、編曲:久保田光太郎、歌:工藤真由。ハートキャッチED1「ハートキャッチ☆パラダイス」と同じチームだ。イントロのギターリフが印象的だった。marhy久保田光太郎ならプリキュア5 ED1「キラキラしちゃって My True Love!」(これすごい好き)。スカ〜スカコア調の、これもロック色が強い曲。アレンジャーの久保田さんがキーだなと思って調べてみると、エレファントカシマシキャプテンストライダムのプロデュースなども手がけている模様。さらに久保田さんがやっていた「SUPER TRAPP」の曲をYouTubeで探してみたら…

なにこれかっこいい。センスとテクニックを両立したギタリストじゃないか。「ラ♪ラ♪ラ♪スイートプリキュア♪」イントロど頭のギターの音のよさが衝撃だったのだけれど、なるほどなあという感じ。アニソンのギターの音作りといえば、ヘビーなディストーションクリーントーンかの両極端の印象があるが、「ラ♪ラ♪ラ♪」は歪み量のコントロールが繊細で。右chと左chの音色とフレーズの絡み、ギタリストには本気でおすすめしたい曲なので、ぜひFull ver.を聴いてほしいと思う*2。特にストーンズを知っている人はギターソロのバッキングで爆笑できるはず。

さらに、リズムセクションもかっこいいと思っていたらとんでもないメンバーだった。

プリキュアと日本のオルタナロックが繋がった!!

id:tunderealrovskiさんの記事で、プリキュア関連の楽曲を多数手がけている高取ヒデアキさんの弟さんが元COALTAR OF THE DEEPERSのメンバーだったことが紹介されていた。「広義のオルタナ」ということになるけれど「ラ♪ラ♪ラ♪」のドラムは中畑大樹(元Syrup16g)、ベースは有江嘉典。つまりVOLA & THE ORIENTAL MACHINEリズムセクションプリキュアに!

プリキュアというメジャーな作品に、こういった最前線のロックミュージシャンが参加していることの痛快さは、木村カエラのバックバンドという形ではあれど、渡邊忍ASPARAGUS)や柏倉隆史toe/the HIATUS)らが紅白に出た、というのに近い。面白い時代になったなあと思います。

*1:プリキュア5、スマイル go go!」はスネアドラムのビートが支配しているという意味でロック色が強いけれど

*2:最後のサビのコーラスワークもシンプルなアイデアで複雑に聴かせたりしてるので、ボーカロイド曲を作っている人にもよいかも。