「話の飛躍についていけません ―志村貴子『青い花』評論集―」を読んだ。その1

アニメ・マンガ評論刊行会のたつざわさんからお誘い頂いて、ちょっとした文章を書かせてもらった「話の飛躍についていけません ―志村貴子『青い花』評論集―」が届いた。ごく簡単ではあるけれども感想を書いておこうと思う。B5版で約100ページにびっしり中身の詰まった本なのに、ひとことずつで申し訳ない。今日は「第1部 マンガ論」のぶん。

青い花』から見るマンガ表現論 ――空白の多用や漫符の使用の少なさから見える景色…むったん (@munetakaoi)さん

「空白そのものがメッセージとして、コマの中に描かれている」という指摘が腑に落ちた。空間の形からものをとらえる観かたもある。

理想としての精神、現実としての肉体 ――志村貴子青い花』論…籠原スナヲ (@suna_kago)さん

恭己と京子でふみを読む!まさに「この発想はなかった」という感じ。バッドエンドに向かっちゃうんでしょうかね。

風に吹かれた種の行方を ――逃走と選択から読む『青い花』…すぱんくtheはにー (@SpANK888)さん

すごくきちんとした論だと思うのだけれど、なぜか「京子」「康ちゃん」「杉本先輩」「あーちゃん」と呼び方が違っていて、そのへんから書いている「人」が滲み出ているところもよかった。自分の心の中の呼び方は「井汲さん」「杉本」だ。

どうにもならない子供が一人 ――井汲京子と演劇『鹿鳴館』…水星 (@mercury_c)さん

部分的なセリフ等からある程度わかるものの、『嵐が丘』や『鹿鳴館』読んどいたほうがやっぱいいのかなあという気になってしまった。むむむ。

溶ける劇場・ユリトピア ――演劇祭から見る『青い花』…小倉浩平 (@tamacko)さん

正直「百合」って何だかよくわからないというかそれほど強い思い入れを持っていないので、興味深く読んだ。百合論以外のところは面白かったし、特に山科先生についての部分は全力で同意。

青い花』のファンタジー ――「百合マンガ」的規範を越えた先に…きめかわ (@kikimekawa)さん

奥平兄妹について突っ込んで考えたことが今までなかった、と気づかされた感じ。たしかにあれは変だ。志村貴子が変なものを意味もなくフェードアウトさせるはずもないんだ。

五輪書』から読み解く恋愛漫画の関係性の構造と未来への展望 ――『青い花』に寄せて…我乱堂 (@SagamiNoriaki)さん

なにをどうやったら青い花宮本武蔵を結びつけると言う発想が出てくるんだろう…。しかし、うん、ふみちゃんはたしかに闘っている。

「良い子」という群の特性と、その発展をあーちゃんに見る…S治 (@esuji)さん

紹介されている作品をことごとく観て/読んでなくてぴんとこなかったですごめんなさい(ゆゆ式は1話よかったので続けて観るつもりです)。でもこういう括りかたはおもしろいと思った。

四姉妹のタイポロジー試論…波野淵 紺 (@nocitponap)さん

自分が男四人兄弟なので、杉本四姉妹の似てない⇔似てる関係はすごくおもしろい。うちは次男と四男が顔も性格も近くて長男と三男はそれぞれ違っているんだが、よその人から見ると共通点がないこともないらしい。そういう意味でも身近でおもしろい視点だった。

「志村フェティシズム」に見る、心の深度。…四条紅羽 (@kureha4)さん

基本的に「手」の話だけでB5版4ページですよ。印象的に「手」が描かれる作品は少なくないと思うのだけれど、『青い花』の「手」は情報量が多い上に頻度も高いということかなあ。

批評でも感想でもない何か(読み飛ばし推奨) ――私と『青い花』…時雨 (@sigure33)さん

こんなパーソナルな話を読ませてくれてありがとうございます、という気持ちです。『センティフォリア』が出てくるのも嬉しい。

鎌倉・江の島訪問記…たつざわ (@tatsuzawa)さん

たつざわさんご本人の記事に限らず、いろんなところに掲載されている江の島周辺の写真が、ほどよい誌面のクッションになっていると思う。ローキー気味でモノクロでも雰囲気がある。

無教養な僕が志村貴子さんの『青い花』を本気で読み返してみた…杉小路武弘 (@suginokouji)さん

なんか読んでてすげえ楽しかった。杉小路さんとふみちゃんを対戦させてみたい。意気投合するかもしれないし。

今日はここまで。「第2部 アニメ論」と表紙、イラストについてはまた今度。4月28日(日)の「超文学フリマ」inニコニコ超会議2で頒布されるそうなので、参加される方、興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。