第3次男女共同参画基本計画(中間整理)の「表現規制」について

電脳卓吾斎:第3次男女共同参画基本計画に、マンガやゲーム規制が盛り込まれる。はてなブックマークのコメントを見ていて、誤解が多いのではないかと思ったので書いてみる。

大もとの記事はこちらか。

「第3次男女共同参画基本計画(中間整理)」にて、児童ポルノ禁止法などによるマンガやアニメ、ゲームなどへの規制の提案が盛り込まれているのが判明しました。

第3次男女共同参画基本計画(中間整理)案に創作物規制案が!: 弁護士山口貴士大いに語る

ここで言われている「規制」とは何なのか?第3次男女共同参画基本計画(中間整理)で規制についてふれている部分のうち、例として第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶 8 メディアにおける性・暴力表現への対応(p.41)から一部抜粋。

(2) 具体的な取組
(4) メディア産業の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進、DVDやビデオ、パソコンゲーム等バーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。

額面どおりに受け取れば、業界の自主規制の促進と規制を含めた対策の在り方を検討するとは書いてあるが、ただちに法規制するとは書いていない。法規制を想定している項目については、全く別の表現になっている。第4分野 雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保ポジティブ・アクションの推進(p.21)から抜粋。

(2) 具体的な取組
(4) 公共調達において、労働関係等各種法令の遵守のみならず、賃金も含めた適正な労働条件の確保、男女共同参画への積極的な取組等を受託企業の条件とすることについて、法整備を検討する。

法的な規制を想定している項目については「法整備を検討」(あるいは類似の表現)が使われている。経緯を見守る必要はあるし、「業界の自主規制の促進」が問題と考える人もいるだろう。ただし、「政府が表現規制に突き進んでいる」と考えるのは誤解といっていいのではないか。東京都の条例と違って、むしろ慎重さが感じられる。額面どおり受け取れば。

第3次男女共同参画基本計画の全体については歓迎すべき内容だと考えている。何度も書いてしまったが「額面どおり受け取りたい」のだ。