継承の儀式としての「Utauyo!!MIRACLE」
岩手では例のけいおん!!20話が今夜放送。なんとなくその前に書いておきたい。過剰な個人的思い入れによる拡大解釈によると、たぶん彼女たちの未来は「Utauyo!!MIRACLE」の映像と詞と音に表れている。
OP2を観て「あれっ?」と思うのは、教室でのライブシーンで唯がギー太を持っていないことだろう。*1頭サビの部分の歌詞はこう。
歌って 歌って 愛 伝える最強手段
放課後ティータイム・作詞:大森祥子『Utauyo!!MIRACLE』ポニーキャニオン 2010年
つまり、伝えたいという欲望=ボーカリストとして開眼した唯が、梓にメインのギターを任せたということ。そして、梓はそれにどう答えたか。
梓の音楽的バックボーンとして「親がジャズバンドをやっていた影響」があるわけだが、今までの放課後ティータイムでの演奏からはジャズの影響は(直接は)見えなかった。しかし「Utauyo!!MIRACLE」のFullバージョン、ギターソロ前のコードプレイで、やっと!「らしい」プレイを聴くことができる。続くギターソロでは、唯と梓の掛け合い*2からツインリードのフレーズに展開する。先輩から後輩へ、桜高軽音部のメインギターの座・継承の儀。美しいなあ。*3
ついでに言えば、
never never…Can't Say Good-Bye
放課後ティータイム・作詞:大森祥子『Utauyo!!MIRACLE』ポニーキャニオン 2010年
のコーラスで、右チャンネルの梓の声がいちばんしっかり聴こえるはず。泣ける。
というわけで、最後のライブだろうと4人が卒業しようと、それでいいのだ。
おまけ。
けいおん!!OP2で驚いたこと。ほとんどのカットが背景に対して真正面。シンメトリーも多用。アイレベルは直立〜しゃがみの自然な位置でアオリも俯瞰もほとんどなし。「正面ではない」印象のカットを抜き出してみるとこのくらいじゃなかろうか。
この中でも、4枚目の唯、5枚目の律、6枚目の唯は背景に水平線基調を残しているし、8枚目は魚眼レンズ的描写だがカメラは傾けていない。山田尚子監督の画作りと、1期OP、2期OP1の石原立也との違いは大きい。
この他、カメラ固定での連続カット(正式には何ていうんだろう?)多用も目立つところ。普通の高校生活を切り取った「素人っぽさ」の演出と見ることもできるが、ハイスピードで激しく展開する楽曲に対して画面を落ち着かせ、かつスピード感を維持する狙いじゃないかと思う。
わかりにくいけど、上にカメラを振っての場面転換。これも山田尚子って感じ。
*1:ギターを持って歌うのは、最後のサビ3カットのみ。
*2:ソロの前後半で分ける曲はあったが、コール&レスポンス形式の掛け合いソロは初。
*3:この後に続く、TV sizeでは使われていないDメロも印象的。豊崎愛生の「大好きなフレーズ」はこの部分。