「けいおん!!」OP1について。

けいおん!!」OP1(GO! GO! MANIAC)に「回転パート」について、id:episode_zeroさんの「キャラクターの360°――『けいおん!!』のOPについて」とは別の視点で。

劇中PVとしての回転パート

あのOPは『けいおん!!』の世界の人間が『けいおん!!』の世界のカメラで撮影したPVであるという「二重の虚構化」を前提にした解答を導き出すしかないだろう。

演奏するメンバーを回転する視点でとらえた映像は、たしかにPV的。たくさんあるはずだが、ここでは代表的なものとしてL'arc〜en〜cielの「HONEY」を(けいおん!6話「学園祭!」のふわふわ時間PV風シークエンスでもL'arcのPVからの影響が指摘されていたので、ちょうどいいだろう)。

もちろん、好評だった1期OPからパワーアップしたものを見せるために、3DCGを導入したという意味もあるだろう。では、なぜ「いかにもPV的」な映像にしたのか。それは、全員前を向いて演奏してはいるものの、練習の延長線上でしかなかった1期OPの演奏シーンからの音楽的な成長を見せたかったのではないか。

TVサイズのOPには含まれていないが、「GO! GO! MANIAC」にこんな歌詞がある。

どこだってメンバー揃った場所 即ステージ

放課後ティータイム・作詞:大森祥子GO! GO! MANIACポニーキャニオン 2010年

校内ライブ3回、ライブハウス1回のステージを経験した放課後ティータイムは、1期のころとは違うのだ。夏フェス回の「私たちの方がすごい」発言を映像で表現した、といえるかもしれない。

なぜ回転運動なのか?

これは、回転パート部分の歌詞からきていると思う。

やばい 止まらない 止まれない

放課後ティータイム・作詞:大森祥子GO! GO! MANIACポニーキャニオン 2010年

止まらない≒終わらない感とスピード感を出すには、円運動がふさわしい。これもTVサイズに含まれない部分だが、3Dを想起させるこんな歌詞も。

縦・横・斜め swinging around

放課後ティータイム・作詞:大森祥子GO! GO! MANIACポニーキャニオン 2010年

3Dについてはちょっとこじつけだれど、楽曲と歌詞ありきでOPが作られているのは間違いないと思う。

気持ち悪さの理由

とはいうものの、3DCGと手書きを組み合わせたパートからある種の「気持ち悪さ」は感じる。個人的には、回転パートについては他のカットと意味合いが違うこともあってそれほどでもないけれど。一瞬カメラ目線になるムギや律はかなり気に入っているし、澪と梓にも違和感はない。

問題は唯だ。250BPM*1の超高速ナンバーで、拍ごとに大きく身体とギターを動かすので、パタパタした機械的な動きになってしまっている。けいおん!!の演奏描写のアニメートはとてつもなく高度で、身体でリズムを取る動きを唯と梓で描き分けるレベルに達している(ED1「Listen!!」で顕著)。しかし、3DCGのリアルでなめらかな動きと、唯のユーモラスな動きを超高速ナンバーで融合させるのは難しかったのではないかと思う。澪や梓のように動きを小さくするとか、大きい動きは小節アタマだけにするとか、曲線的な大きい動きでノリを表現するとか、山田尚子ならもう少し自然な演技をつけていたんじゃないだろうか(OP1の演出・コンテは石原立也)。

OP2(Utauyo!!MIRACLE)についても少し。

はじめてOPの演奏シーンに観客が入った!教室がステージになった!感動的なのは、3回の繰り返しのラスト。最後だけ、回りながら歌う唯にのせられて観客もノリノリで回りだす。客の反応にきょとんとした表情の唯から笑顔のアップへ。ギターを梓に任せることで、今まで以上に全身で楽しさを表現する唯。例によって歌詞の聞き取り不能なので、正式な歌詞が楽しみだ。

*1:4分音符1拍が1分間に250